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一つの理想形!角田文学の名作「対岸の彼女」”ドラマW”は超豪華キャストだった!

WOWOWの”ドラマW”で映像化された
「対岸の彼女」(2006年平山秀幸監督~角田光代原作)を観ました。
これは、原作とドラマがとてもうまく融合したひとつの理想形かな、
と思いました。泣けた!素晴らしかった!

<あらすじなど>
ひとりの付き合い下手な専業主婦が、その殻を打ち破ろうと、
マンションの1室を事務所にした小さなベンチャー会社に勤め始める。
そこで出会った同い年の女社長は、高校時代、いじめに遭い、
転校を余儀なくされ、転校先で出会った初めての親友との関わりの間で、
ある事件を起こした過去を持っていた。

多様化した現代を生きる女性の悩み、やるせなさ、そして人間としての
繋がりを角田光代氏独特の語彙豊かな表現で描いた原作は、
2005年に直木賞を受賞。

翌年、日本アカデミー賞最優秀監督賞の受賞歴もある平山秀幸監督により
ドラマ化され、本作で芸術祭テレビ部門の優秀賞を受賞しました。
(TSUTAYAでDVDを借りられますが、取り寄せになりました)

以下、感想を。

(1)役者が超豪華!その後の日本映画・ドラマ界を彩る名優揃い!

主演の主婦・小夜子役に夏川結衣さん、理解のない夫役に堺雅人さん、
隠された過去を持つ女社長・葵役に財前直美さん、その少女時代に
石田未来さん(惜しくも引退した”ガッキー”世代の元祖グラドル)、
その親友で、この作品のキーパーソンとなる少女・ナナコ役に多部未華子さん(NHK朝ドラ「つばさ」主演の3年前)。
さらに、葵の少女時代の両親に
香川照之さん、木村多江さん。小夜子に清掃業務を厳しく指導する役が
根岸季衣さん。そして脇役ながら、ベンチャー会社の社員に、
TV版「モテキ」の野波麻帆さん、山下敦弘監督作品のヒーロー山本浩二さん、
国分佐智子さん、など。
もう、凄すぎる役者陣!
特に夏川さんは原作イメージにぴったりでした。
読みながら、オノマチさんかな、と想像していましたが、
同じ是枝作品の常連・夏川結衣さんが、
自分の演技で小夜子役を描いてくれました。
そして、多部ちゃん!
ナナコ役をこう演じるとは、
意外でしたが、よかった。
ここからステップアップしたんですね!

(2)お楽しみの”電車”シーンは、”上毛”&”伊豆急”!

葵の少女時代の転校先の高校が桐生市内の設定だったので、
「東京へ出る!」という原作のトーンからJR両毛線かと思いきや、
上毛電鉄700系2連が井の頭線時代の水色で登場、
同色のホーム柱の西桐生駅がローカル色に溢れて、泣かせてくれました。
両毛線の代わりに、葵とナナコが夏休みにバイトする今井浜海岸駅では、
115系伊豆急色(赤白ツートン)が2度も登場。
河津方面の短いトンネルから出てくる115系の姿は、
作品の方向性を分ける重要なシーンで使われました。
偶然か、いずれもやや曇りがかった日の撮影で、原作の謎めいた雰囲気を
反映するようで、”鉄”としても満足、満足!です。

(3)角田作品と映像コンテンツの幸福な融合

2006年といえば、WOWOWが”ドラマW”を活発にPRし、
良質な作品を連発していた時期。2003年の「恋愛小説」(金城一紀原作、
森淳一監督)でも、玉木宏さんと小西真奈美さんの主演で感動し、
今見ても色褪せない出来です(都電荒川線も登場)。
一言で言って、「丁寧に作っている」と感じました。
監督や演出の力もありますが、これだけ贅沢に役者さんを起用し、
適材適所でよく演じさせたと思います。
是枝・山下両監督ゆかりの役者さんもいて、
ペ・ドゥナが出演してたらどこに起用するだろう、って考えましたし、
きっと泣かせてくれたと思います。


もうひとつ、渡良瀬川の深遠な風景も、よくロケしたもんだ、と感心!
古い橋の上に主演4人の女優を並んで座らせた演出は見事で、
涙腺緩みっぱなしでした。

なお、角田光代さんとは、仕事で数回お会いする機会に恵まれ、
今月もお会いしました。
その作風とは違って、目立たない方で、よく喋られる方でもないのですが、
いつお会いしても、なるほど!と感じさせる気品は、
やはり稀代の作家魂から、でしょうか。
素敵な方ですし、いつか角田作品に、ペ・ドゥナ出てほしいな!
直根第2隧道へ IMG_5583
※画像はイメージです。

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