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中国地方の城下町TのK隧道(Tunnel "K")

s-kabusaka06

「K隧道」は、中国地方のTという静かな城下町の外れにある。
Tは狭い盆地だが、小さな町を取り囲む山々は結構深く、町の中心から徒歩20分程度で山の中へ分け入ることが出来る。その山中の一角に江戸時代のキリシタン殉教の地があり、今も小さな聖堂や墓地が残っている。「K隧道」は、その墓地のさらに先を上った所にある。
直根第2隧道へ IMG_5583

集落も途絶え、草生した細い獣道のような細い山道があったので、誘われるように登っていくと、まさに突然、草と苔で覆われた石造りのポータル(坑門)とともにドーンと「K隧道」が現れる。

実は、この初訪問の後にもう1度、この隧道を訪れたが、あまりの迫力に怖気(おじけ)づいてしまい、やはり「隧道」の入口から2,3歩入ったところで、引き返してしまった。何とも意気地がないのだが、隧道の入口から目の前に広がる暗闇は霧で霞んでいて、その中から冷気がこちらへ流れ出て、あたりを霊気の如く包んでいるのだ。来てはいけないところへ来てしまったような、とにかく早く立ち去りたい衝動に駆られる。それならわざわざこんな遠くまで来なくたっていいものだが、これが「怖いもの見たさ」か。

この「K隧道」の魅力を最大限に引き出しているのは、その見た目の“長さ”だ。市販の地図を見ると、かなりの長さがあるように思われたが、実際には200mあまり。入口回りの倒木などの荒れ具合が、怖さを増幅し、正しい長さを冷静に判断できなくなるのだ。しかし、国道や県道でもない未舗装の山中に、“素堀り”(コンクリなどの舗装ではなく岩を手仕事で掘った古典的な隧道)でこれだけの長さを感じさせる「隧道」は、実は多くはない。隧道の中は灯りひとつない真っ暗な状態で、入口から見ると、霧で霞んだ遥か彼方に、出口の光がほんの小さく見えている。この「K隧道」の内部はカーブのない直線で、その途中で峠の分水嶺を跨ぐ形になっているのだ。
   
この峠(K峠)は、隧道の先にある小集落とTの町を結ぶ古くからの峠道で、地図上でも「K隧道」と記載されている。興味深いのは、何ゆえにこのような世離れした隧道が、今なお存在するのか、いったい中を通り過ぎていく人はどのくらいいるのか、ということだ。町役場に聞いてみたところ、地元の人でも週に1人くらいしか通らない、ということで、確かに隧道の先に小さな集落はあるものの、現在はこの古い峠道とは別の車道が通っているため、この林道自体が廃道化しているそうだ。役場としても台風などの後の道の整備をほとんど行っていないらしく、旅行者の訪問をお薦めできる状態ではない、との話だった。

キリシタン殉教の地と墓地、廃道、そして素掘りの長い隧道…と、よくもまあこれだけのシチュエーションが揃ったものだが、私は霊感については縁がないほうなので、そっちのほうの怖さは感じない。
ただ、印象深いのは、「K隧道」の入口に立ったとき、霧の向こうから湧き出てくる、独特の“気”のようなものだった。その“気”を体に頂いたような感じがした。
たとえ隧道には2,3歩しか踏み入れなくても、峠から下りて、JRのT駅から列車に乗り、窓を少し開けて陽だまりの田畑の風景をのんびり眺めながら、そんな道々を思い出すと、ホッとして、缶ビールがすごく飲みたくなった。
由利高原鉄道 IMG_5622

※訪問時期:1988年、2008年
※上記の通り、この隧道及び林道は現在廃道化しており、残念ながら訪問は自己責任で、出来ればご遠慮いただきたいと思います。よって、隧道名も伏せていますが、その点お知りになりたい方は、当ブログへ書き込み願います。
次からは、”当時は歩けた隧道”をご紹介しますので、ご容赦ください。
(画像は「Tunnel Web」より一部を引用させていただき、また一部はイメージです)

#長いトンネル、#長い隧道、#トンネル、#隧道、#歩ける隧道、#tunnel

I've visited tunnl "K" in Chugoku area,
west Japan around 5 years ago. Unfortunetuly, We can go through with the tunnel by becoming to old. But I've fallen the shinning from the tunnel "K".


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